俺が選んだ俺の物
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鶴丸は無邪気なところも老獪なところも併せ持った刀だ。話しやすいしわかりやすい。今日も買い物の荷物持ちを頼んだら、気持ち良く了承してくれた。何か買いたい物は無いかと、暗に買ってやるぞと言ってみれば「がちゃがちゃしたい」と目を輝かせたので三百円を握らせて来た。百円を三回するも良し、三百円を一回するも良し。俺が買い物をしている間、大いに悩んでいてくれ。
護衛として連れてきた大倶利伽羅と万屋を出たのは、それから十五分程経った頃だった。人の怒鳴り声や破壊音じみたものが聞こえてきて、「喧嘩か?怖い怖い」と他人事のように思っていた。
まさか自分の鶴丸が見知らぬ審神者の顔面殴打をしているだなんて、全く予想していなかった。出来るかそんなもん。その見知らぬ審神者の護衛らしき刀剣男士も吹っ飛ばされてるし、何やってんのこいつ。
「聞いてくれ! こいつが悪い。君を馬鹿にしたぞ、俺の主を馬鹿にしたんだ! 君に俺は勿体ないだと、信じられるか? 俺が望んで頭を垂れた主を! 無知な若造と馬鹿にしたんだコレは!」
「なんだと殺せ」
「大倶利伽羅さん!?」
「よっしゃころす」
「鶴丸も待て待て!」
当たり前のごとく相当な問題となり、政府の役人に連行されて事情聴取諸々で深夜帰宅。挑発したのは向こうでも、売られた喧嘩を買った方も問題ありとして絞られた。本丸で待っていた刀達からは当然心配されたし、鶴丸は「もっと上手くやれ」と怒られていた。……だから、そういうのが駄目なんだって。
なるほど、確かにプライドが高い。
自分に対する自信があるから、その自分が望んで選んだ主を侮られると「俺の選んだ主を馬鹿にするのか」とむかつくのだろう。自分の審美眼には自信があるようだ。
大切にされているのはよくわかったが、どうしようか。悪くないから強く叱れない。刀の神様の鋭いまでの無垢さが、人間には荷が重い。さてどうしようと頭を掻く俺に、眼が合った鶴丸はにこりと笑って手を振った。
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