かいぬしはごくあくにん
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顔が気に入った。それだけの理由で自分を飼っているディセプティコンは、兵士としてメガトロンに従っているわけではないという。『メガトロン様は大切なお得意様ですよねえ〜』と笑う男は、見た目以上に悪辣な生き物だった。
趣味はショッピングと金儲けだと嘯くが、ショッピングとは死体漁りと窃盗を意味しているし、金儲けはそのまま正しい意味を持つだろうが彼の仕事は武器商人だ。死の商人か。意外性の欠片もない、実によく似合った仕事をしている。
ぺちゃくちゃとよく回る口で『今日もたんまり儲けてきましたよお〜』と一人でしゃべりつつ、厳重にロックをかけられた保管庫を開ける。途方もない量のエネルゴンや、一体彼が何に使うのかはわからない金貨、輝く石がところ狭しと並べられていた。一般的な通貨は場所によって資産価値が変わるため取引には使用しないのだという。聞いてもないのに語るので、ナマエはスィンドルの個人情報や機密事項を無駄に知ってしまった気がする。胸にある謎のギミックから途方もない量のエネルゴンを出しながら、今日もこの悪人は楽しそうだった。
感情は一度デリートされ個性は消えた。しかしそのまま固定させたわけではないので、ナマエの感情と個性はまたゆっくりと育ってきている。
『お前は』
『はあい?なんですかぁ?』
『お前は利にならない事を嫌うくせに、何故俺を傍に置く』
『最初に言いました通りにですねえ。私、あなたの顔が好みなんですよねえ〜』
爽やかすぎて嘘くさい笑みだ。その通り嘘なのだろう。
ベタベタと無遠慮に顔を撫で繰り回される。思い出した、これが[不愉快]という感情だ。彼の傍にいるとマイナス方向の感情ばかりよく思い出す。
『あと、あなたみたいな駄目な奴見てるととっても楽しいんですよねえ〜。底辺を見てると、私もこうならないように頑張ろうと初心を忘れず、楽しくお仕事ができるんですよねえ〜!』
『そうか』
『はい!私のやる気のために明日も明後日もクズのままでいてくださいねえ〜。ちゃんと飼い主としての責務は果たしますから、一生懸命媚びて尾っぽを振ってくれていいんですよお。あ、でもそれが出来ないくらいダメでもいいです。ダメな犬ほど可愛いっていいますよねえ〜』
『そうか』
俺もクズだが、ゲスよりは世界に優しい生き物だと思考した。
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