ねているだけではつまらない


ナマエがスィンドルに飼われるようになって数十年たっていたが、トランスフォーマーにとっての数十年などたいした時間ではない。
宇宙空間を飛び回り悪徳商法で楽しく汚い金を稼ぐスィンドルと、基本何も考えず壁に背を預けて思考したり無になっていたりするナマエの二人はそれなりに平和に生きていた。この頃になるとナマエにもまた根源的な死への恐怖が蘇ってきていたので、『ほおら餌ですよぉ〜這いつくばって家畜のように食べてくださいねえ〜』と落とされるエネルゴンを素直に食べるようになっていた。スィンドルはナマエが素直に従う度に何故か腑に落ちないような顔をするのだが、彼は俺に何を求めているのだろうか。考えても答えが出ないのでナマエはいつもそこで思考を放棄する。

たまに、ナマエとスィンドルは身体を重ね合わせる。
ナマエはやる気の欠片もなかったので受ける側なのだろうとぼんやり思考していたのだが、想定外にもスィンドルは自分に跨ってきた。ぺちゃくちゃとよく回る口で好き勝手いいながら、本人の目の前で堂々と違法ウイルスを感染させてきた。結果、ナマエのやる気とは関係なく身体が反応し、仕方なく自分に跨るスィンドルを組み敷いた。



以前のナマエは腰抜けのクズではあったが、性格を抜かせば高スペックのオートボットだった。ただのヘタレを『そこがかわいい』というような奇特な者も一定数いて、ナマエはそれなりに経験を積んでいたのだ。

組み敷いた近い距離の中、余裕ぶった紫色のアイセンサーがナマエの顔を見ている。首に回した手は、どこか置き場に迷っているようだった。


『スィンドル』
『なん…です、か?』

余裕ですねえと引きつった顔で笑う男に、ナマエは思考した結果導き出された感想をそのまま伝えた。




『お前下手くそだな』

マグロって言うんだ、お前みたいなやつは。そこまで言う前に全力で腹を蹴られた上に肩を撃たれて顔に拳をいれられた。

その後二年ほど両手足をもがれて転がされたが、それでもたまに身体を合わせるので、ナマエはスィンドルの気持ちが全くわからない。もちろん、察する気もさらさらない。


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