しかたないのでおちていく
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そう気がついたのも、船の燃料用エネルゴンの他にあった[ナマエの餌用エネルゴン置き場]がカラに近くなってしまったからである。なんということだろう、いつも通りに食っちゃ寝を繰り返していただけなのに未来が見えなくなった。飼い主ならちゃんと義務を果たして欲しい。迷惑だ。
このまま慎ましやかに消費を続けていれば、あと一年くらいは持つ。そのあと省エネモードに入れば、数十年はいける。
だがしかし、もしかしたらスィンドルはこの広い宇宙のどこかで鉄くずになっているのかもしれない。ありえる話だ、なんといっても詐欺商人。恨みを持つ者も多かろう。火力はあるが、正直たぶん、戦闘は苦手そうだ。どんくさいところがある。
このまま省エネ待機して、帰ってこないスィンドルを待ちつつゆっくりと死ぬのは勘弁願いたい。
一瞬だけ『もう一度感情消して宇宙を漂おうかなあ』とも思ったが、スィンドルが何をどう弄ったのかはわからないがロックがかかってしまっている。自分の体なのにいじれない。ナマエは持って生まれた技術力はあるのだが、持って生まれただけで何も学んではいない。自ら武器制作やらウイルス開発やらをしているスィンドルの技術力とは、比べるのもおこがましい。
『………』
自動運転モードに入っている船の操縦パネルを適当に触る。なんだかいろいろ罠が仕掛けられているが、捻れきっているスィンドルの性格から考えたらこれはこう…となんとなくの勘で操作を続ければ、目当ての項目が出てきた。スィンドルの胸にある謎のギミック。あれはこの船と空間が一部繋がっているので現在地を逆探知することができる。
モニターに映し出されたのはここから離れた距離にある星で、数ヵ月ほど動いていないようだ。数ヵ月とは誤差のうちに入る。敢えて動いていないのか、それとも動けなくなってしまったのか。ここからではわからない。
『………行くか』
ちょっと飼い主を迎えに行こう。逆探知のためのデータを登録し、予備の小船を引っ張り出した。使い方はなんとなくわかる。燃料も行き帰り分くらいはあるし、問題ないだろう。たぶん。
そしてナマエは闇と星しかない宇宙に飛び込んだのだった。
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