早く元気になればいい


俺の有給のうち半分はだっこお化けと化したブラーをブラブラぶらさげて生きるだけで過ぎていった。

『…、……、』
『どうした?腹でも減ったか』

俺はトランスフォームするとバイクになるのだが、象でも乗るのかってくらいにわけのわからん超大型バイクになってしまうせいで、二輪車特有のスマートな体型ではない。
ブラーより縦横一回りがっちりしているので抱きつかれても特に苦は無いが、よじよじと登ってきては人の顔を両手で挟んで口をパクパクさせているけれど意思の疎通できなくて辛い。
俺の考えだと『お腹すいた早く何か食べたい何もくれないならお前の目玉をほじって食べちゃうぞ』的な事を言っているのだと思う。目玉をほじって食べるという冗談は昔から言われていたので違わないだろう。
ブラーは俺の事を非常食と思っている節があるし、『紳士的なのも構わないけど僕個人としたら食べてもらっても構わないんだよ据え膳は好みではないみたいだから無理にとは言わないけど』と、よくわからない理論で人に共食いさせようとしてくる。
確か貰い物のエネルゴンチョコが封を切らずに残されていたはずだ。ブラーは人の数倍動き回るせいで、すぐ腹ペコになるからなあ。

『ほら、口開けろ』
『……』

あ。と、開けた口にチョコを投げ込む。いつだってしゃべりっぱなしの奴だが、こうやって口にものが入っている時はいつも静かだった。
何度か繰り返すと俺の手から奪い取って俺の口にねじりこんできた。やめてください。食べさせてくれようとする善意は伝わりますがもっと優しくしてください。

楽しそうにニコニコ笑いながら俺の口にチョコを突っ込むブラーさん。
あのですね、いくら俺が巨体をもっていようともブロックでぶち込んでくるのはつらいです。咀嚼が間に合いません。ほらやっぱり口からこぼれただろ。ああもう、そんなもん食べるな、汚っこい。

『………』
『満足したか?』
『…!』
『それは良かった』

すっかり気が弱っているのだろう。手に擦り寄ってくるのをこちらから撫でてやる。


早く元気なブラーの姿をみたいものだ。


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