bgm, GREEN DAY/wake me up when September
5 Auto Reverse 衝動再生
最悪の終わりを迎えた後の日常は、
引き摺っている割に平和なもんだった。
目を逸らしていく瞬間のユメの横顔、泣いた顔が次々浮かび、どれもが色褪せたふうに流れていく。ごめんなとその度に思っても、今は戻りようが無く過去である事に救われていた。どちらも似たような距離で、寮に帰るか家に帰るか悩まずに済むあたりも有難かった。久しぶりで気まずくとも、擦れ違いの辛さと引替えてもユメの元へ帰ることを選んでいたが、別れに近い記憶ではあの扉を開けることに躊躇いが生まれていた。
帰る場所を選ばなくとも選択肢が無い事によるほっとした感覚は、違った形で思考を弛めてくれる。多分あのままの二人ではどの道上手く行きはしなかったと思えば、ただの後悔だったものが、プライドを捨ててでももっとやりようがあったろうなんて考えに向いていく。
しかし困ったことに、ユメへ送ったメッセージに既読は付かない。飯食ってるかとか、眠れてるかどうかだとか、くだらないメッセージを送りたくなるが読まれないまま時が経つ。
それなのに街ではユメをよく見掛けるものだから焦れた。目立つ車にさえ乗らなければ彼女は気が付かず、一度もこちらを見なかった。
朝の信号待ちをするまだ眠たそうな顔、忙しそうに歩き、角を曲がっていく靡いた髪、ガラス張りの美容室、カフェテラスでの優雅なおひとり様。
……おいおい誰だテメェは。ナンパしようなんざ百万年早ェ。まずい、ユメは俺以外をあしらうのが超ド級に下手くそだ。
もう俺の恋人じゃないのに綺麗に見えるのは俺の事を忘れたからなのか。自分じゃあ微笑ませる事もできなかった癖に笑うユメに未練がましく妬く。その眼差しだけは、どうしても俺に向いて欲しい。その時間は、俺と共にであって欲しい。
メッセージすら相手にされない現状ではやりようもなく、もたつく気持ちの悪い感情を切り上げられずにいた。どの辺で、どう次に行けばいいか二の足ばかり踏んできたが、目の前の光景を衝動が許さなかった。
やめんなら今でいいだろ。もうやめだ。
なぁ、突然声なんか掛けたらまた怒らせるか?
また、泣かせちまうか?
俺のせいでも構わないから全部の感情は俺にくれよ。
辛くなんてねぇよ。
今はお前が居ないより辛いことを知らないんだ。
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mix you.