The misunderstanding has been cleared up

「私、零が好き」

紗織の発言とほぼ同時に食事が運ばれて来た。話の流れが読めずに固まっている俺に話が聞こえていたのであろう店員さんの生暖かい眼差しを受ける。早く置いていなくなってくれ。

「アメリカに行った好きな人には一度も会ってないし、2人で出かけたのは零だからだよ。ごめんなさいは本当に零と付き合っていいのか悩んだから。後から冷静になって考えたら凄くひどいことしたと思って早く謝りたかったの」

まっすぐこちらを見つめる眼差しに嘘は見られない。しかし昨日会ってた人は一体何なのだ。現に今日だってあの人とお揃いの眼鏡をしている。

「彼はイギリスにいた頃、隣の家に住んでた幼馴染みだけど…私が日本に来る理由になった人の弟だよ」

聞いた事全てに丁寧に答えてくれる紗織にどろりとした気持ちが溶けていく。「眼鏡はあの後、目が腫れちゃったから誤魔化すためにかけてただけ…」と恥ずかしそうにほら、とその目を見せてくれたことであんなに重かった気持ちがふっと軽くなる。
俺の誤解だったということで間違いないだろうか。

「あと、零が見てたならわかると思うけどあの挨拶は日本ではやり過ぎだって彼に怒られた。郷に入ったら郷に従えってね」

でももし逆に零が挨拶だって言って他の人にしてたらすごく嫌だなって思ったからもうしない、と頬を赤らめてこちらを見る顔は正直刺激が強い。なんの計算もなかったのだろうが下げて上げるをされた俺からしたら嬉しさ余って人目の多い店内だというのに抱きしめてしまいたくなる。

「えーっと、つまり、俺は振られてない?」

確認のためにそう尋ねれば耳まで真っ赤にした紗織がこくんと頷いた。
てっきり嫌な話だとばかり思って家を出たのにこれは怒涛の急展開だ。今俺の家でスヤスヤと寝ている彼奴も夢にも思うまい。

「彼女にしてほしいな」

反射的に飛び出しそうななった可愛い!という賛辞を寸前で飲み込んで、崩れかけた顔を取り繕う。
こう言うのは男から言わなきゃダメだ、と散々彼奴に言われたけれど俺だってそう思うんだ。

「俺と付き合ってほしい」

この前のやり直しとばかりに同じ言葉を選んだこと紗織は気付いただろうか。
絡んだ視線の先、紗織の瞳は前回と同じく潤み揺れていたが今度はちがう理由だとその表情が物語っている。

紗織は笑顔で頷いた。
imy.