【やなぎのした】弐


よく回る舌だと感心し、それと同時に舌打ちする。


(面倒くせぇことになったな…)


己の身の上を語る姿はまるで噺家の口上のようだ。

だが自身は未だに自分の身に起こったことを理解していない。


いや、拒絶している。


「あー…もういい。もういい。止めろ。」

「、ぇ…」


ビクッと揺れた小さく薄い肩に、ぼりぼりと頭を掻いた。

先程から首裏がざわついて仕方ない。


「とりあえず場所変えるぞ。腹減ってるか?」





【粗餐】





少年の後について行くと、山道へ入る少し手前でその小屋にたどり着いた。


「今帰った。」

「何だ、早かった、な……?」


少年の声に、顔を出したのは修験者風の男。

男は自分と目が合うと、すぐ少年へ視線をずらした。


「黒兎…お前、何を拾って来たんだ?」

「別に今更、餓鬼一人増えたところで変わらねぇだろ。どうせ周りには稚児趣味だって思われてんだから。」

「人聞きの悪いことを言うな!」

「飯食わせるだけだ。がたがた言うなよ。」

「く…っ」

「ほら、お前。こっち来い。」


腕を引かれるがまま小屋の中央まで導かれ、「少し待ってろ」と座らされる。


気付けば男の姿はなく、静まり返った小屋の中、かちゃかちゃと鍋を掻き回す音だけが響いた。


「……おら、食え。」


そう差し出されたのは、縁の欠けた白い茶碗と木を削って出来た匙。


中に入っているのはどうやら粥のようだ。


恐る恐る茶碗と少年とを見比べると、睨まれた。


「食えるだけましだろ。食え。」


言われて茶碗を手に取ると、じんわりと熱が掌から伝わって来る。

そして匙で掬って躊躇いながらも一口。


また一口。


そうゆっくりと手を進めていると、隣に腰を下ろした少年から頭を引っ掻き回された。





それはひどく水っぽい粥だった。

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嘘つき、ロンリー。