【やなぎのした】参


食ったらさっさと帰れ。

そう言い続けたはずなのに、いつの間にか当然のように居候が一人増えていた。


頭を抱える。


「黒兎、黒兎!」

「あー、うっぜー…」

「さっき聞いた噂話なんだけども、これがまぁ、何とも不可思議な出来事でー…」


傍から見れば、何とも愛らしい童らのじゃれ合い。

大変微笑ましい光景だが、如何せん片や全く童らしくない我が弟子だ。


何となく、何かが半減する。


しかももう一人の『語り』のせいで徐々に空気が怪しくなってきた。


不意に黒兎が面倒臭そうに何かを振り払う仕種を見せたので、やれやれと重い腰を上げる。


「おい、黒兎……っと。」


(そういやもう片方の名前、知らねぇや…)


いっそ弟子同様、名付けてやるか。なんて思う辺り、自分もかなり毒されていることに当人は気付かない。





【名無】





「柳の下で拾った童っぱだから……柳……柳か……」

「…………」

「…………」

「…よし。今日からお前は幻殃斉だ。」

「げんようさい?」

「おい、柳はどこに行った?」

「だから柳幻殃斉。立派な名前だろう?」

「、はいっ!」

「姓付きとは太っ腹なもんだな。」

「拗ねるな、黒兎。お前も今日から柳の姓を名乗るんだぞ。」

「………は?」

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嘘つき、ロンリー。