踏鞴場の長と青年03


その横顔の美しさに、きっとこの男も心惹かれたのだろう。

なんて、少し他人事のように思いながら目の前の光景を可笑しげに眺めていた。


「ケント…」

「…何か、ご用で?」


戸口から一歩足を踏み入れた瞬間、その喉元に触れるか触れないかの位置で押し当てられる切っ先。

弓や石火矢の類いは苦手だと言っていたケントだが、代わりに刀の方は大した腕前のようだ。


では槍術はどうだろう。

今度、持たせてみようか。


鋭く細められたケントの眼差しに様々な想いを巡らせ、またゴンザが騒ぐかもしれないなと思うと、ついつい笑みを漏らしてしまった。


ケントしか見えていなかったアシタカの視線が、不意にこちらへと向けられる。


「…エボシ殿……」

「くくっ…どうした?アシタカ。私に何か用か?」


先程のケントの言葉を繰り返せば、ケントもまた横目でこちらを窺っているのが見え、軽く片手を挙げた。

すると意図に気付いたのか、何やら言いたげにしながらも無言で刀を収める。


アシタカの表情がますます曇る。


「…ケントに、一体何をした…」

「さて、私には何の話やら分からぬが。」

「エボシっ…!」

「なぁ、ケント。」

「はい。」


ただ名を呼べば、躊躇うことなくアシタカへと背を向け、我が傍らに片膝を着くケント。

その頭を撫で、そして二の句を継げぬ目の前の客人を見やった。


「一体、これに何をする必要があると言うのだ?」





艶鬼がえば、

彼の世界は色着いた。

(けりは疾うに着いていた)
(今この瞬間、いやそれよりもずっと昔に)


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109000hitより。
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嘘つき、ロンリー。