仮想の物語
IF〜賞金稼ぎだったら
そこに空があったから
「『英雄ケント』の孫が賞金稼ぎ、か…」
不意に背後から掛けられた声に、ブーツの紐を結んでいた手を止める。
振り向けば苦笑する親父と目が合った。
「空を飛びたいだけなら空軍でも良かったんじゃないか?」
「…軍なんて俺の性に合わねぇよ。」
もう何度も問われたその質問にうんざりしながら再びブーツの紐へ向かう。
だが少し苛立ってしまったせいか、一向に上手く結べない。
「そうか?お前は親父によく似てるよ。」
「軍の英雄に?そりゃ光栄だ。でも生憎、俺は父親似でね。」
アンタに似て、縛られるのは苦手なんだ。
ようやく結び終え、立ち上がりながら振り向くと、ばつが悪そうに目を逸らされた。
「…そう言えば最近、変わった賞金稼ぎがいるらしいじゃないか。」
ついでに話も逸らされ、今度はこっちが笑ってしまった。
仕方なく話に乗ってやる。
「あぁ、ポルコ・ロッソとかいう豚な。元は『アドリア海のエース』だったみてぇだが…」
「好敵手か?」
「はっ!軍人崩れなんかに俺が負けるかよ。」
軍人と言えば、最近妙に突っ掛かって来る優男をふと思い出した。
確か階級は少佐だったか。
「…まぁ、いいか。」
「?どうした?」
「いや、何でもない。行ってくる。」
いってらっしゃい。
気を付けて。
どこか柔らかな空気を持つ声に背中を押され、扉を開けると
「……いい天気だ。」
そこにはどこまでも深い青空が広がっていた。
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理由はそれだけで充分だろ?
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嘘つき、ロンリー。