本と楽器のハーモニー

土曜日


『そりゃあやっぱお前、つぶあんよりこしあんが好きだったんじゃね?』

「いや、違うっしょ。」


『温泉饅頭より温泉の素が良かったとか。』

「ない、それ絶対ないから。」


『別にいいんじゃねぇの。俺、あいつ嫌いだし!』

「おま…根に持ちすぎじゃね?」



昨日あれから色々と相談してみたものの、相手が悪かったのか何も得るものはなかった。


何故、天沢は怒ったのか?

理由が分からないと謝りようもない、と自分なりに考えてみる。


やはり一番有力なのは、


(…俺、邪魔だったかなぁ…)


『邪魔しないこと』を条件に相席させてもらっていた身の上だ。

それだったら確かにまずい。


という訳で。


「はい、これ温泉の素。」

「…は?」


ずるずると長引かせるのはよくないと、早速図書館前で天沢を待ち伏せし、謝罪の品を押し付けてみた。


そのチョイスについて、苦情があれば友人の方へ。


あの後「温泉の素、馬鹿にすんじゃねぇ」と延々に語られた俺はすっかり温泉の素の下僕だ。


「前に数学教えてもらったお礼と、あと昨日はなんかごめん。」

「………」

「邪魔して本当ごめん。んじゃ。」


勢いでぶっ込んで、返事も聞かずそそくさと退散の体勢を取った。

また学校でなーとか何とか当たり障りのない挨拶をして、手をひらひらと振る。


途中、呼び止められた気もしたが気にしない。


明日で夏休みも終わりだ。


(どうか今日中に天沢の機嫌が直りますように。)


今なら何となく、宿題を強制した友人らの心境が分かる気がした。


俺のせいで最悪の夏休みだったとか思われたら、まじ凹みそうだ。




--------------
苦労するのは 土曜日の子ども

*前次#

戻る

嘘つき、ロンリー。