奏でる人々
野球部の場合
やばい、やばい、マジでやばい。
何がやばいかって夏休み明け初日から寝坊、そして遅刻しそうな今のこの状況だ。
ついでにHR前に軽く部活のミーティングがあるということを、たった今思い出した。
(ぐああああ!ますますやっべぇぇぇぇっ!)
という訳で、ひたすら走って走って走りまくっている俺。
今なら盗塁王になれる!ような気がする!
…今後はもっと走り込みを増やすか。
(ぬおおおお…お?)
なんて決意したところで、前方に見覚えのある後ろ姿が二つ見えてきた。
片方は俺を待つことなく待ち合わせ場所から姿を消していた、薄情者のケントだ。
どうやらがむしゃらに走り続けた結果、追いついてしまったらしい。
火事場の馬鹿力ってスゲェ、というか怖ぇ。
(ん?もう一人は…)
角度が微妙でよく分からないが、身長的に剣道部ではなさそうだ。
ということは、
「遅刻すっぞ!」
「うぉっ!?」
「っ!?」
ケントの横を通り過ぎる瞬間、自分のことを棚上げしてその背中を勢いよく叩いた。
すると油断していたのか、ケントは体勢を崩してもう一人の方へと衝突。
ちょっとした事故になってしまった。
「!?やっべ!」
報復を恐れて振り向くことなく、そのまま走り去る。
幸いなことに俺を呼び止める怒鳴り声は聞こえてこなかった。
(…ここでケント達と会うってことは、とりあえずHRには間に合うか。)
そうと分かれば肩の力がほんの少し抜ける。
残す問題はミーティングだけ。
努力って大事だ。
やっぱり走り込み、もっと真面目に頑張ろうとそう思った。
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(って、あれ?ケントの隣にいたのって……ま、いっか!)
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嘘つき、ロンリー。