本と楽器と恋の物語

第四話


「ラブレター?」










約束通り勉強しようと図書室に行ってみたものの、本に囲まれたら眠くなるという杉村の不思議な体質のおかげで一時間もいられなかった。

ただ帰り道にはすっかりいつもの調子に戻った杉村を見て、とりあえず目的は果たせたと思った。


そう一安心した矢先に「そういえば、」と思い出したように杉村が口にした話題に、一瞬足が止まりかける。


「原田から聞いてないか?」

「聞いた、けど…」


忘れていた。

夕子のあの様子なら、きっと断るだろうと思っていたから。


いや、それよりも問題は何故、それを杉村が知っているのか。


訝しげな俺の視線に何か勘違いをしたらしい杉村は少し慌てだした。


「あ!ちがっ…俺じゃないからな!あれは他のクラスの友達が書いたやつで!」

「知ってるけど…」

「は、原田がまだ返事してねぇみたいだから…だから、ちょっと、気になって…」

「…………」


俺はお前の態度がひどく気になる。

そう言いたくなるのを何とか我慢して、次の言葉を待った。


気になって、だから何だ?


「…なぁ、やっぱりお前、原田と付き合ってるのか?」

「まさか。」


予想外の質問につい反射的に答える。

そしてあからさまにホッとした表情の杉村に、ますます嫌な予感がした。


もしかして杉村も夕子のことが、


「じゃあ原田って好きなやつ、いんの?」

「…何で俺に聞くんだよ。」

「だってお前ら、仲良いだろ?あ、そうだ。ケントから手紙の返事、聞いてくれよ。な!頼む!」


パンっと手を合わせ、拝むように俺に頭を下げる杉村は友達想いのいいやつだ。

ただそれだけで他意はない、はず。


そう自分に言い聞かせながら、俺は数時間前の二の舞にならないように必死に平静を装い、言い放った。


「嫌だ。それくらい自分で聞けよ。」


そして夜、夕子からの電話に再び後悔することになる。




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一段落、には程遠い。

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嘘つき、ロンリー。