仮想の物語

IF〜空賊EDA


「…パズー。俺、もう帰るから。」

「え?あ、うん。気を付けて。」

「もう帰っちゃうの?また来てね。」



二人に見送られて数分後。


「今、戻っ」

「うわぁぁぁあっ!ケントケントケントーっ!ケントは俺のお嫁さんだよなっ!なっ!?」

「は?何言って」

「おいっ!アンリっ!!」

「抜け駆けするんじゃねぇっ!!」


引き返したくなった。







if~空賊ルートに入ったらA






「…あのな、ただでさえアンリの冗談に付き合うだけで疲れるんだ。」


こめかみ辺りをほぐしながら、そう噛んで言い聞かせるケント。

その前では大の男が二人、正座させられていた。


「分かるよな?シャルル、ルイ。」


肯定以外は認めない。

二人を見下ろすケントの目は完全に据わっていた。


ちなみに三男坊はぎゃーぎゃーうるさかったため、他のメンバーにより退場させられている。


「で、でもよぉ…」

「でも、何だ?」

「あんなこと言われちゃ、なぁ?」

「なぁ?」

「あんなこと?」


シャルルとルイが顔を見合わせ、何かを示し合わせる。

その様子にようやくケントが「何だ、言ってみろ」と発言許可を与えた。


「ママとケントのやり取りを見てて、誰かが言ったんだよ。『次期船長はケントだな』って。」

「おい誰だ、そんなこと言ったの!」

「最後まで聞けって!そしたら今度は『いや、さすがにそこは世襲で三兄弟の誰かだろ』って言う奴がいて…」


激論とまではいかないが、まぁ世間話程度に『次期船長』についてそれぞれ思い馳せていると、紆余曲折を経てとんでもない結論に至った。



『ケントと結婚する奴が次の船長だ』と。



「……何でそうなる?この男所帯で…」


とうとうケントは頭を抱えてしまった。


「そしたらアンリが『じゃあ俺が次の船長だな!』とか言いやがるから…なぁ?」

「俺達もつい、なぁ?」

「なぁ?じゃねぇよ、おい。お前らは『つい』で野郎に求婚するのか?」


そう睨んでやれば、シャルルは「いや、俺はケントが相手なら別にいいかなぁと」と呑気に言い放つ。

そしてルイを見れば、


「……いい。」


何が?と聞き返す勇気はケントにはなかった。


「…うるさいねぇ、まったく。」


そこへ満を持してドーラの登場。

仮眠中だったらしくボサボサの頭を掻きながら、腰にはアンリを張り付けていた。


さすが末っ子。


(((あの野郎…!)))

「いいかい?あたしの目の黒い内はお前達に譲る気なんざこれっぽっちもないからね!ごちゃごちゃ言ってんじゃないよっ!それからケントはアンリの嫁だ!」


これでいいだろ!あたしは眠いんだ!


そう怒鳴り付けるとドーラは腰のアンリをバリッと剥がし、どしどしと足を踏み鳴らしながら自室へと戻って行く。


「…ちょっと待て、ドーラ。根本的な問題が解決してないぞ!?」


いち早く我に返ったケントが慌ててドーラの後を追うと、背後で歓声やら喚声やらが上がった。




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「…実家に帰らせて欲しい。」


そう素で言ってしまうほど、ケントの精神は参っていたらしい。

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嘘つき、ロンリー。