外伝奇集

vs地走り


別に、タタラ場に戻る必要なんてなかった。


『ジコ坊』さえいなけりゃ、俺達地走りと、師匠連とやらとの関わりなんて無いに等しい。

だから石火矢衆や唐傘連とは違い、そこいらの狩人に紛れて生きていくことだって、俺達には出来たはずだった。


『また拙僧の下で働いてくれるか?』









「……ケント様。」

「ん。」


食糧用に必要最低限の狩り、そして対人用罠の考案。

それら任された仕事の報告にケント様の下を訪れれば、その名を呼ぶだけで終わった。


ケント様がこちらを一瞥することすら、ない。


ゆるゆると振られる手とその横顔に、いつかの神殺しを思い出して俺はそっと息を吐き出した。


『初めに言っておくが、そなた達のことを信用している訳ではないぞ。』


俺達地走りはただの道具だ。

持ち主が『ジコ坊』から『ケント』という男に変わっただけの。


それ以上でも、それ以下でもない。



『ただ、その腕を知っておるだけのこと。』



だから今、ケント様の隣にいるアシタカという青年が俺を睨んでいるのは筋違いの話だ。





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(そして、終幕)

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嘘つき、ロンリー。