太古の神々の物語

第一話


一分一秒が運命の別れ道。








(いやはや、参ったな…)


そっと息を吐いて耳を澄ますと、相変わらず己の下駄に紛れて聞こえる蹄の音。

気配は付かず離れず、そしてこちらが止まればあちらも止まる。


「…旅のお方、拙僧に何かご用かな?」


振り向いて、そう何度目かになる問いを投げ掛けてみるものの、返って来るのはやはり沈黙のみ。


また一つ溜息吐いて、先を急ぐことにした。

蹄が、後に続く。


(実に参った…)


先の道中、遭遇したのは田舎侍の小競り合い。

そこで運悪く数人に目を付けられ、追われていたところに奇妙な出で立ちの旅人がアカシシに乗って現れた。


そして、侍の一人の両腕を見事射抜いてみせた。


(あれは、恐らく助けてくれたのだろうな…)


だがその理由は知らぬし、その後の行動の意味も解らない。


答えも、返って来はしない。


(一体、何処まで着いて来るつもりなのやら…)


仕事柄、見知らぬ者に背後を取られるのはあまり好まないのだが、今のところ実害もなし。


仕方なく今しばしの間、様子を見ることにした。





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目が合ったのは、ほんの一瞬。

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嘘つき、ロンリー。