太古の神々の物語

第八話


鬼が出るか蛇が出るか








「約束は守ろう。」


そう言って腰を上げたタタラ場の女主人を見上げ、目を細める。

もののけではなく田舎侍相手に戯れているところを見た時はどうしたものかと思ったが、この分なら大丈夫だろう。


「期待していますよ、エボシ殿。」


天朝様の書状をただの紙切れと一蹴し、俺が崖裏に待機させた唐傘衆の存在までも看破した女。

なんと賢く、勇ましく、そしてなんて愚かしいことかと心の中で嘲笑う。


(まぁ、扱いやすくて何よりだが…)


その瞬間、ふと一人の男を思い出した。


「ところでエボシ殿、アカシシに乗った旅人をご存知で?」


タタラ場に着いてしばらく経つものの、未だその姿を目にしていない。

何となく予想はついたが、用は済んだとばかりに歩き出していたエボシを呼び止めた。


すると案の定、振り向き様に返されたのは「去った」との短い答え。


(あの力、ちと惜しいが…仕方ない。)


「なぁ、ジコ坊よ。」


今度こそ行ってしまうだろうと思っていたが、それに反して未だそこに留まり続けるエボシが俺の名を呼んだ。

つられてそちらを見れば、涼しげな目元がおかしげに笑っている。


「まさか、そなたまでシシ神の生首に不老不死の力があるとは思っていまいな?」


問われた言葉に思い浮かべたのは、あの荘厳なる姿。

ついつい口元が緩むのを抑えきれない。


「さて…どうでしょうなぁ。」


やんごとなき方々や師匠連の考えなど拙僧には分かりませんよ。

いや、分からない方がいい。


そう続けて、俺は笑った。




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神が出るなら万々歳!

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嘘つき、ロンリー。