太古の神々の物語
第九話
「祟りというなら、この世は祟りそのものよ。」
山犬の姫らと別れ、森を離れようとした矢先にその異変に気が付いた。
(、今の音は…)
続けてタタラ場からは銃声が聞こえて来る。
「…行こう。」
そうヤックルを促して、進行方向を変えた途端、行く手を阻む侍達の姿。
その包囲を何とか潜り抜け、湖を渡り行けば、そこにはまるで戦場のような光景が広がっていた。
「アシタカ様!」
柵の上からおトキさん達が顔を覗かせる。
声を張り上げ問えば、エボシ殿は不在。
動ける男達をみな引き連れ、シシ神退治へ向かってしまったと言う。
(先程の爆音はそれか…)
何が見えるという訳ではなかったが、無意識に山の方へと目を向けた。
そして甲六から投げ渡された弓矢を受け取り、「エボシ殿を呼んで来る!」と声を張り上げる。
また一際大きく銃声が鳴り渡ったかと思えば、背後にこちらへと近付く舟が一艘二艘。
急がなければここも危ない。
「エボシ様を頼みます!」
頭上から降り注ぐ声に応える間もなく、ヤックルに跨がる。
そして、
「どうかジコ坊という男にはお気を付けて!」
「エボシ様もあの野郎に唆されちまったんだ!」
ほんの一瞬の逡巡。
それをごまかすように、私はヤックルに先を急がせたのだった。
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そして全ては縁で結ばれている。
(エボシ殿の下へ行けばあの恋い焦がれた姿が、)
(不謹慎にもそんなことを思ってしまった)
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嘘つき、ロンリー。