太古の神々の物語

だったとさ


シシ神の脅威は去り、山には緑が生い茂る。

勿論全てが元に戻った訳ではなく、失ったものも多い。


だが、ここからまたやり直そうと、皆と共にそう誓った。


「礼を言おう。誰か、アシタカを呼んできておくれ。」


見慣れた顔ぶれを見渡していると、ふとその赤と白に気が付いた。


傍らのゴンザも私の視線を辿ってか、それを目に留め、眉を顰める。


「エボシ様。」

「構わん、放っておけ。」


恐らく僅かな生き残りであろう、唐傘衆やら地走りやらが遠目にこちらの様子を窺っている。


頭を無くしてしまえば所詮、烏合の衆だ。

そして案の定、それらはしばらく辺りをうろついた後、音もなく姿を消していた。


(奴らめ…ジコ坊を見付けきれず諦めたか。)


『上』には一体、何と報告するつもりなのか。

少し興味をそそられたが、視界の端に早速山の方へ向かおうとする者を認め、すぐそちらを見た。


「あぁ、それとジコ坊を…ケントもここに連れて来ておくれ。」


ゴンザの顔がますます歪む。


「アシタカはともかく、あの野郎もですか?」

「奴とて最早師匠連には戻れんだろう。」


今は少しでも人手が欲しい。

それに上手くいけば、ケントを呼び水に石火矢衆を呼び戻すことが出来るかもしれない。


そう説き伏せようとしたところで、それまで話を聞いていたおトキが口を挟んできた。


「あいつには散々、引っ掻き回されたからね。今度はタタラ場のために働いてもらおうじゃないか。」

「あぁ、そりゃあいい。」


次々と上がるのは賛同の声と、笑い声。

一気に形勢不利となったゴンザが、ぐっと言葉を詰まらせる。


「しかしっ…」

「諦めなされ、ゴンザ殿。」

「大体、エボシ様が居場所のない者を拾うのは今に始まったことじゃないだろう?」

「そうそう。それに、」


一瞬、言葉を切ったおトキが隣の甲六に目をやった。

まさかここで自分に視線を向けられると思っていなかったらしく、「へ?」と間の抜けた声を漏らす甲六。

そして、



「それにアシタカ様に負けず劣らず、いい男だしね。」



辺りはまた笑い声に包まれるのだった。

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嘘つき、ロンリー。