あかイおに
にこやかに
赤き髪。
赤き肌。
ふと金の眼と視線交わり、
鬼は、
「…さて、そろそろ帰り支度を始めるっすかね。」
タタラ場の復旧を見届け、腰を上げるケント。
すると周りからはそれを引き留める声が次々と掛かった。
私は少し迷い、そして決意した。
「ケント。」
「はい。何っすか?」
名残惜しむ声をさらりと躱しながら荷造りをしていたケントが、私の言葉にすぐさま作業の手を止める。
その姿に思わず小さく苦笑をもらした。
「そなたは、ここに残った方がいいのではないか?」
「、え…」
ずっと考えていた。
郷里を出る時にヒィさまも言っていたことだ。
『あの子にとってここは、少し窮屈かもしれないね。』
もう随分と昔のことだ。
ある日突然、ケントは私達の前に姿を現した。
素性が知れぬ上に幼くとも異様な形をしていたためにあまり歓迎されず、私の従者となった後も周囲からは遠巻きにされるばかりだった。
全てはその、人ならざる力のせい。
『アシタカ様!』
「…恩返しなど、もう考える必要はない。そなたの正直な気持ちを聞かせてくれ。」
「そ、れは、つまりっ…」
ケントの声は震えて、それ以上続かなかった。
そしてしばらく、口を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返して、
「まるで捨てられた子犬だな。」
不意にそう揶揄するような笑い声が横から入った。
「憐れすぎて見ておれんぞ。」
「エボシ殿…」
「アシタカもアシタカだ。言葉が足らぬ。今生の別れでもするつもりか?」
今生の別れ。
声にはせず、口の中でその言葉を反芻してようやく、何が言いたいのか気付いた。
そして何が足りなかったのかも。
「…すまない、ケント。確かに私の言葉が足りなかったようだ。」
ケントは黙って俯いたまま、私の次の言葉を待った。
その肩は小さく震えている。
私はその見慣れた赤い頭を優しく掻き撫で、そして
「そなたがここに残りたいと言うなら、今度は私がそれに付き合おう。」
顔を上げたケントは大きく目を見開いた。
そして、にこやかに泣いた
「ア、シタカ様ぁ…」
「アシタカでいい。なぁ、ケント。」
(これからはお互い一人の男として対等に、)
(そして共に生きてゆこう)
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アンケートより。
リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。