これまでの話
二
「あの悪餓鬼がよくぞ立派に育ったものだなぁ。」
そうしみじみと呟いた男の視線の先には、臙脂色の衣を纏う青年が一人。
村の乙女らと何やら愉しげに立ち話をしている。
だが男の呟きを拾い、その視線を辿った別の男が「いやいや、」と首を振った。
「それを言うなら、あの大人しすぎるほど大人しかった子が逞しくなったものよ。」
そして反対の方向を指し示せば、その先には群青色の衣を纏う青年が一人。
こちらは村の子らと共にアカシシの世話をしているようだった。
「そう言えばアシタカはいつもケントの後ろに隠れておったな。」
「だがケントはアシタカに頭が上がらなかった。あれの悪戯を諌めるのはいつもアシタカの役目であったよ。」
「まぁ、今でもあまり落ち着きのないところを見ると、さほど効果はなかったようだがな。」
「違いない。」
なんて一人二人と話に加わり、気付けばいつの間にか大所帯と化した論評会が笑い声で締め括られる。
だが不意に、一人の男が首を傾げた。
「しかしあの二人、昔はあれほど共にいたのに…最近ではあまり一緒におるところを見んな。何だ、喧嘩でもしておるのか?」
「何、互いを好敵手として認め始めたのであろう。切磋琢磨、良いことではないか。」
いずれはどちらかが、このくにを納めることになるのだ。
そう思えば一層感慨深くもなるというもの。
そして誰とはなしに感嘆の息を吐いた。
「そろそろ嫁を迎える支度をさせねばなぁ…」
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(二人の位置関係は?)
(隣り合わせ、背中合わせ、向かい合わせ?)
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嘘つき、ロンリー。