これからの話

水辺の話


轡を外した瞬間、駆け出していく相棒。

その後ろ姿に「あまり遠くへ行くなよ」と声を掛けたが、恐らく届いてはいないだろう。


ふと隣を見れば、ちょうどアシタカがヤックルのそれを外すところで、その円らな瞳と目が合い、思わず苦笑してしまった。


「悪いが、ヤックル。あいつのことを頼めるか?」


まるで了承するかのように一鳴きし、ヤックルがハロクの後を追う。

ばしゃばしゃと川へと分け入る足音が二つに増えた。


「さて、と…ここならお前も、人目を気にせず着物を脱げるだろう?」

「しかし…」

「今の内に身を清めておかないと、臭ったら次の村で妙な顔をされてしまうぞ。」


それでは色男が台なしだ。

そう笑ってみせたものの、アシタカは未だ蓑すらも脱ごうとしない。


次第に焦れてきた俺は溜息一つ吐いて、己の着物に手を掛けた。


「まぁ、気が向いたら入ればいいさ。」


折角見付けた、人気のない水辺。

日に日に色濃くなっていく痣を隠す必要もなく、最適だと思ったのだが。


「…すまない、ケント。」


袴に伸ばした手がアシタカにより止められる。

顔を上げるとそれまでばつ悪そうに背けられていた顔が、真っ直ぐにこちらへ向けられていた。


「アシタカ?」

「、これ以上は我慢が」


不意に鋭いヤックルの声がその場を遮り、反射的に二人してそちらへと振り返る。


その瞬間、頭から思いっ切り水を被った。


「っ、ハロクっ!」


何をする!と怒鳴り付けても悪びれることなく駆けていく後ろ姿。

ただヤックルだけが、どこか申し訳なさそうにこちらを見つめていた。




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(清められた、清い関係?)


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アンケートより。
リクエストありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。