若き参謀長の憂鬱
猶予
大した進展もなく終わってしまった会談に、「あまり期待しないように」と事前に忠告してきた幼馴染みはやはり正しかったと思わず溜め息を吐いた。
(……駄目だったものは仕方ない。早く気持ちを切り換えなければ…)
それに我が国の頼れる参謀長ならば、すでに次の手を準備しているはずだ。
そして、それはきっと、私を安心させてくれるものだろうと―…
『お前のその首、国のために差し出せ。』
そう、思っていた。
「…よくある交渉の一つですよ。別に珍しいことではありません。」
会場から少し離れた、人気の少ない廊下の突き当たり。
そこでつい先程行われたやり取りの真意を問い質せば、ケントは溜め息混じりにそう説明した。
「いや、そんなことは分かってる。私が聞きたいのは、」
「『何故、向こうの条件を飲んだのか』ですか?それなら特に問題はない、と判断したからですが。」
「問題は、ない?」
国のために死ね、と言われて問題ない訳がない。
それにあれは確か、ケントが昔「先生」と呼び、慕っていた男ではなかったか。
「引き継ぎはほぼ終わっていますし、後は私がいなくても残りの者で対処出来るでしょう。ですから問題はないはずです。」
淡々と話すケントは恐らく、このような事態になることを予め想定していたのだろう。
そして何もかも、準備していた。
なんて優秀な幼馴染みだ。
だが、それではあまりにも悲しすぎる。
「それに私一人の命で済むならやす、っ」
だから私は、ケントに最後まで言わせないように、その体ごと自分の腕の中に閉じ込めたのだった。
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罪と罰
(赦しと、)
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嘘つき、ロンリー。