若き参謀長の憂鬱
憂慮
「お、うじ」
「お前の命は安くなんてないっ!」
「あの、」
「駄目だっ!そんなこと、私は絶対許さないからなっ!」
「…………」
どうやら、王子は何か誤解しているらしい。
いや、誤解というより、言葉を言葉のままの意味で受け取ってしまったのだろう。
何を言おうとしても聞く耳を持たない様子に、ひとまず落ち着くのを待つのが先かと溜め息を吐いた。
停戦の条件に参謀の首を要求する、なんて昔からよくあることだ。
だが大昔ならともかく、昨今では文字通りその首が飛ぶことなどほとんどあり得ない。
幽閉か、従属か。
そのどちらになるかは分からないが、どちらにせよ一種の人質のようなもので、とりあえず表舞台から姿を消せばそれで終わる。
(…事前に、説明しておくべきだったな…)
思えば王子は諸事情でしばらく国を離れていたのだ、その辺りの政治に関して少々疎くても無理はない。
詰めが甘かった。
暗黙の了解と高を括り、何も言わなかった自分が悪いだけの話。
『私のような若輩者にそれほど価値などありませんよ。』
ふとつい先程口にしたばかりの自身の台詞が甦り、「全くその通りだ」と思わず自嘲してしまった。
俺に、価値なんて、ない。
(…それを、今更……)
今更、何だ?
続く言葉はとうの昔に切り捨てたはずだ。
そしてもう一度、そっと溜め息を吐いて、自分を包み込む自分以外の体温を押し退けようと腕を動かした。
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あなたに、こう
(やめて、おねがい、そんなひどいこと、)
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嘘つき、ロンリー。