若き参謀長の憂鬱
融和
全てを説明し終えた瞬間の王子の顔は、なかなかの見物だった。
だが恐らく、その後の俺の方がそれ以上の間抜け面を晒していたに違いない。
「………は?」
一瞬何を言われたのか理解が出来ず、次の瞬間にはあの嫌な笑みを浮かべた王室付き魔法使いの顔が脳裏を過った。
そしてすぐ、今日の会談に彼の者が同行していないことに思い至る。
ならば、これは一体何の冗談だろうか。
「今回の件で、はっきりと分かった。」
そんなこちらの困惑を余所に、王子は俺の手を取り、その上に自身のそれを重ねた。
突き放したばかりの温もりが、再び柔らかく締め付け始め、
「お前には随分と甘えてきた…でも最後にもう一つだけ、甘えさせてくれないか?」
警鐘が、鳴り響く。
「傍にいてくれ、ケント。」
焼けるような突き刺す痛みに、思わずその手を振り払った。
「ケント?」
「、あ、んたは、何で、そんな…」
そんなことを軽々しく言えるのか。
震える声に、どこかで冷静な自分が「不敬罪」と嗤ったが、最早それに構うことも出来ない。
途切れたはずの線が繋がる、繋がってしまう。
もう、無理だ。
「俺が一体、何の…誰のために…こんな……」
「ケント。」
「っ、触るなっ!」
「ケント、聞いてくれ。」
「……っ!」
伸びてきた手から逃れようと身を引くが、すぐ背後の壁に阻まれてしまった。
思考は混乱を極めているというのに、相手はこちらが落ち着くのを待ってはくれない。
二度目の抱擁に体が硬直する。
「いつだったか、お前は誓ってくれたな。総てを私に捧げる、と。」
「!覚えて……?」
忘れる訳がない、と笑って王子は俺の耳元へと顔を寄せた。
「もう一度、お前が誓ってくれると言うのなら、今度は私も誓いを立てよう。」
そして囁くように続けられた言葉に、思わず泣きたくなるのだった。
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心変わりは人の世の常
(しかし、変わらぬこともまた事実)
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嘘つき、ロンリー。