大泥棒が暴く城の謎
猜疑
突然斬られた、拘束の縄。
次の瞬間には狭い車内へと放り込まれ、頭上には燃えるオートジャイロが迫っていた。
『出番のないまま退却かよ!』
「…サイズは合ったか?」
「あ、はい。」
本当は少し、大きい。
だけどようやく手に入れた着替えだ、特に支障はないと自分自身に言い聞かせて礼を述べた。
すると一瞬、老人の視線が上から下へと走ったものの、「そうか」と返されただけだった。
「あの、」
「何だ?」
「何か、お手伝いすることは…?」
「いらん。…今はお仲間に付き添っていてやりなさい。」
否定が喉まで出かかったが、それを言葉にする間もなく向けられた背中。
その後ろ姿を見送ってしばらく、俺は少し迷って、元いた部屋に戻ることにした。
「ん?よぉ、服は借りられたか?」
「………あぁ…」
重傷を負ったルパンを抱えた一味が、この家に駆け込んだのはつい数時間前のことだ。
状況が状況だったためにろくな説明もなかったが、あの老人は一体どういう人物なのだろうか。
(泥棒と知り合いなんて、ただの民間人じゃ……)
泥棒。
ふと視線が寝台の上に横たわった男に留まる。
続けてそれに寄り添う犬の姿。
何か、事情を知る老人。
数日後に控えた婚礼の儀。
偽札と、カリオストロの、闇。
「どうした?」
ぐちゃぐちゃになった思考に声が割り込む。
つられてそちらを見れば、相手は思いの外すぐ近くまで来ていて、
「お前さんが責任感じる必要なんざねぇよ。」
頭に乗せられた手がそのまま、俺を引き寄せる。
苦笑が、耳元で聞こえた。
俺は抵抗する気にもなれず、ただ黙って次元の肩に自分の額を押し付けるのだった。
--------------
(今の俺には、何が正しくて何が間違っているのか分からない。)
「…憐れな…」
そう呟いたサムライは、部屋の片隅でそっと目を閉じた。
*前次#
戻る
嘘つき、ロンリー。