大泥棒 対 名探偵

弟子


嫌でも見慣れてしまった後ろ姿に続いて部屋へと入る。

そして扉を後ろ手で閉めると同時に、思わず溜め息がこぼれ落ちた。


(……俺は一体、何をやっているんだ…)









暴かれたカリオストロの闇と、クラリス様が取り戻した、光。

そして、その光をこれから守っていくことが俺の役目だと、そう思った。


思って、いた。



『そういや「花嫁を頂く」って予告があったな。あれ、まだ有効か?』



花嫁誘拐など端から本気で狙っていなかった癖に、笑いながら問い掛けてきたのは髭面のガンマン。

冗談めいた口調に、だが何となくその意図を察することは出来た。


本当に守ることが出来るのか。

その覚悟があるのか。


そう問われているのだろうと思い、だから俺も負けじと不敵に笑い返してやったのだ。



盗れるものなら盗ってみろよ、と。





…後に知ったことだが、あの時の『花嫁』というのはクラリス様のことではなかったらしい。よく分からないが。

そして「返しておけ」と言っておきながら俺ごとティアラを持ち去った泥棒一味は、一体何を考えているのだろうか。


挙げ句、いつの間にか俺まで一味としてICPOに認識されているのは一体何故なのか。








「どうした?」


全ての元凶が素知らぬ顔して振り返るのを見て、また一つ溜め息を吐き出した。


「…別に何でも、ありませんよ。次元…先生。」


少々ぎこちなく答えつつ、次元から上着を受け取ってハンガーに掛ければ、「よく出来ました」と言わんばかりに頭を掻き撫でられる。

敬語も敬称もなかなか言い慣れないが、この子ども扱いだけはしっかりと慣れてしまった、なんて全く嬉しくないのだが。


『いざってぇ時に、ボロが出ちまわねぇようにしねぇとなぁ?』


だから、人目がないところでも常に「先生」の「一番弟子」らしい所作を心掛けるように。


なんて、わざとらしく咳払いまでしながら、そう偉そうに訓示を垂れていたあの大泥棒はきっと面白がっていたに違いない。

隣でサムライが、複雑そうにその顔を歪めていたのが何よりの証拠だ。


(何で、俺が……)




『出来るよな?ケント。』




「……先生。」

「ん?」

「それで、今後のご予定は?」

「あぁ、特に変更はねぇ。当初の予定通りだ。」





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(『弟子』の、密やかな決意)

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嘘つき、ロンリー。