大泥棒 対 名探偵

泥棒


『戴冠式でミラ王女が戴く、クイーンクラウンというのはこの中に…?』

『えぇ。よろしければご覧になられますか?』

『え……いいん、ですか…?』

『いいですよ。あ、でも中へは入れません。セキュリティが作動すると、ここで切ることは出来ませんのでー…』


そして意気揚々と宝物庫の構造を語り始める衛兵。

その様子をとあるカフェテリアの一画で盗み見ていたルパンは、聞けば聞くほどその堅牢さに苦々しく顔を歪めて…



かと思いきや。



「いやぁ、さっすがケントちゃん。なかなかどうして上手くやるようになったじゃあないの。」


厳重な警備など端から想定内。

秘密兵器を後に控えたルパンはむしろ余裕綽々で、敵情視察というより子どもの初めてのお使いを見守っている気分だ。


ニヤニヤが止まらない。


「それもこれも教育の賜物ってやつ?この分なら次からは一人で任せてもよさそうだ。なっ、次元センセー?」

「へっ…ようやく子守りから解放されるってんなら精々すらぁ。」

「おーおー。可愛い生徒が巣立っちまって本当は寂しい癖に、よく言うぜ。」


一瞬黙り込んでしまった次元。

だがすぐに「で、どうすんだ?諦めて観光でもすっか?」と話をすり替えた。


「俺様が今まで諦めたことあったっけか?これ見てしょーゆ。」


あえてその話題転換に乗っかり、ルパンはパソコン画面を次元の方へと向ける。

それまで見向きもしなかった次元が、ようやくそちらに目を向けたのを見計らって今回の作戦を切り出した。


一通り説明し終えたところで反応を窺えば、まぁまぁ納得したらしい。


が、不意に舌打ち。


「油断するとすぐこれだ…」

「あん?」

「悪いが俺は一旦戻る。夜にまた落ち合おうぜ。」


そう言って次元はさっさと席を立ち、呼び止める間もなく行ってしまった。


「どうしちまったんだ?あいつ。」


不思議に思い、ルパンがパソコンを再び自分の方に戻すと、その画面の端でケントに着けたカメラがまだ生きていた。


その枠一杯に映る赤は恐らく衛兵の制服。

頻りに食事に誘われ、困惑するケントの声が微かに聞こえた。


「…あーらら。保護者サマは大変だねぇ。」





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(面白くなってきやがった、と大泥棒は笑う。)

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嘘つき、ロンリー。