大泥棒 対 名探偵

武士


サクラ女王とジル王子の一件。

実はあれは、事故ではなかったのかもしれない。


そう疑念を抱いたキース伯爵が、次元先生と日本から来た少年に捜査を依頼したらしい。


そのカモフラージュのための、親子。



『くにに帰らせていただきます!』



「っ……!」


それを誤解し、取り乱してしまった自分。

冷静となった今では、思い出す度にカッと顔が熱くなる。


悪い連中ではないと思っていただけに裏切られた気分になった、なんて、俺は一体何を期待していたのだろうか。


「ケント?」

「…何でもない。大丈夫だ。」

「……そうか…」


五右ェ門の目は何か言いたげだったが、結局何も言わず、刀の手入れに戻った。

その様子を見届けると、俺も小さく息を吐き出して、分解した手元のライフルに視線を落とす。


(…集中しよう…)


一先ず盗みの段取りが付き、表向きの仕事内容も護衛から探偵へと変わった。

そのため王宮内に常時留まる必要もなくなり、今は「捜査のため」と言えば出入りが自由になっている。


『…話がきな臭くなってきやがった。お前、先にアジトに戻って念のため準備しておけ。』


パレードコースの下見に向かう際、少年の目を盗むように出された指示。

取り越し苦労で済めばいいが、残念ながら俺は前例を知っていた。


(王族の陰謀、か…)


きっと、ろくなことにはならない。

どこも似たようなものだと思いながら、その『どこか』を思い出す。


それと同時に、何も出来なかった自分のことも。


(…クラリス様は…どうされているだろうか…)


そっとこぼれ落ちた溜め息に再び向けられた視線に、だが今度はそれに気付くことはなかった。




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(武士の情け、)

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嘘つき、ロンリー。