天空の城を目指す物語
はじまり
自分は、この新しい上司が苦手だ。
「どうかしたかね?」
「!いえ…っ」
何でもありません、と慌てて敬礼すれば、ムスカ大佐は愉しげに喉を鳴らした。
「くくっ…まぁ、そう堅くならず楽にしたまえ。」
「はっ」
言われて敬礼を解き、直立不動のまま次の言葉を待つ。
すると大佐はサングラスの奥にある目を細め、視線を上から下まで走らせた。
まるで、値踏みでもするかのように。
「ケント君、と言ったね…うん、実にいい。」
「!」
軍内では滅多に呼ばれぬファーストネームに僅かながら動揺する。
よく自分のような下っ端まで覚えているなと感心する反面、何やら居心地の悪さを感じた。
「もういい。下がりたまえ。」
「はっ!失礼します!」
結局自分は何の為に呼び出されたのか、さっぱり分からなかったが解放されて少なからず安堵した。
「あぁ、一つ覚えておいてくれたまえ。」
そして執務室を出る直前、呼び止められ
「私は君のことをいたく気に入っているのだよ。」
自分は何故この上司が苦手なのか、何となく分かったような気がした。
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地位云々ではない。
でもその目は確かに、遥か上空から僕らを見下ろしている。
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嘘つき、ロンリー。