天空の城を目指す物語
第十話
自分はこの上司が苦手だった。
でも少しだけ、尊敬していたようにも思う。
「あの少年を撃ち、私に向かって撃ち…君のその銃は何発仕様だったかね?」
まるで答えを知っているかのような口ぶりに舌打ちした。
生憎、俺には一発残っているかどうかさえ分からない。
おまけに予備の弾はなく、右肩と右足も負傷して上手く動かせない状態だ。
最悪だ。
「…アンタ、まだ走れるか?」
「え…」
「何とか俺が隙を作る。そしたらアンタは走れ。」
「っ、そんな…!」
「俺は足手まといだ。いいか?パズーと合流したらそのまま」
「シータっ!」
不意に、玉座の間とやらに少年の声が響いた。
「っ、パズーっ!」
今にも駆け出して行ってしまいそうなシータ嬢を何とか制す。
そしてちらりと横目で見れば、その無事な姿に安堵の息を吐いた。
(これで三対一…だが状況は大して変わってねぇ。)
むしろ保護対象が増え、余計に厄介だ。
パズーの持つあれは恐らく女船長の物だろうが、あまり頼りには出来ない。
(さて、どうする…?)
「…大佐。」
「何だね?」
「最期に…二人に話ぐらいさせてやってもいいでしょう。」
「!ケントっ!?」
「……よかろう。三分待つ。」
そう言って大佐が数歩後退するのを確認し、パズーを呼び寄せる。
そして恐る恐る近寄ってきたパズーに対し、シータ嬢の背中を軽く押した。
「多分、次が最後のチャンスだ。パズー、お前はシータ嬢を連れて行け。」
「ケント…?」
「そんなのダメっ!お願い、パズーからもケントに何か言って」
「頼むからっ!」
無意識に大声を出してしまい、二人の肩がビクッと震える。
その様子に我に返り、ごまかすように苦笑した。
「悪い…でも、頼むから言うことを聞いてくれ…」
いいな?
そう念を押せば、二人は躊躇いがちに小さく頷いた。
すると「三分だ」と声が掛かる。
「話は済んだかね。」
「…ご慈悲を、感謝します。」
二人を庇うようにして、大佐の方へと向き直る。
そして最後の望みを込め、銃を向けようとした瞬間、背後で何か落ちる音がした。
「何…?」
不審げな大佐の表情に、俺は反射的に振り返ろうとして―…
『 バルス 』
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自分達は間違っていた。
でも彼らはきっと、正しい道を選ぶのだろう。
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嘘つき、ロンリー。