紅い飛行艇乗りの物語
またいつかの話
戻って来なかった同胞。
姿を変えてしまった盟友。
そして、
「ジュニア!」
タラップを降りきったところへ駆け寄って、怒鳴りつければ不思議そうな目で見られた。
「一体どこに行ってたんだ!」
「どこって…見ての通り、演習から帰ってきたところだろ。」
「今日はお前の班じゃないはずだ!」
またやってるよ。
そう苦笑しつつ、ジュニアと同様に飛行艇から降りてきたパイロット達が俺達の横を通りすぎていく。
中にはジュニアに「大変だな」と声を掛ける同僚も。
「前回参加出来なかったからな…ちょうど一機空きがあるって聞いて」
「どうして俺に言わなかった!?」
「…お前、少し過保護じゃねぇか?俺のママンかよ。」
呆れたようにそう言うと、ジュニアは俺の肩を軽く叩き、横を通りすぎようとした。
だが俺はその手を掴み、引き止める。
「話は終わっていない。」
「…フェラーリン…」
いい加減にしろ、と睨まれても退く訳にはいかない。
少し声量を抑えて、まるで子どもに言い聞かせるように心を砕く。
「いいか?天空の城なんてないんだ。」
「な、」
「勘違いするなよ。お前が信じるものなら俺だって信じたい…だがな、お前を連れ去ってしまうものなんてない方がいいに決まってる。」
そう言うと、ジュニアは複雑そうに顔を歪ませ、俺から目を逸らした。
そして後ろ頭を掻く。
何かをごまかそうとする、ジュニアの癖だ。
「…あー、お前、何でそれで恋人が出来ないんだ?」
「俺はお前がいればそれでいい。」
「……原因は俺か。」
じゃあさっさと俺が嫁さん見つけなきゃな。
そう言って苦笑するジュニアの言葉に少し胸が痛んだ。
「嫁よりも先に飛行艇から降りろ。」
「それは譲れねぇ。」
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愛しい人の心まで奪われた。
そろそろ空が嫌いになりそうだ。
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嘘つき、ロンリー。