仮想の物語

IF〜大佐と心中ED


※『おわり』別ver.
※「バルス」後。











弾は一発。

神が望む終焉も、一つ。








不安定になった足元に気を取られ、体勢を崩した一瞬、気付けば俺は大佐の腕の中にいた。


「っ……大、佐…」

「ケント…ケント……っ」


耳元で繰り返されるのは荒い呼吸と、時折混じる自分の名前だけ。

“抱き締める”というより“縋り付く“に近いそれは思いの外強く、次第に背中へ食い込んでいく爪が痛い。


(……脆い、な…)


たった一つ感覚を失うだけで、これだ。

それが人間の本質だと解っていても、その姿が今まで自分を翻弄し続けた人物だとは認めたくなかった。





『くくっ…そう怖がることはない。』




ふと制服越しに感じる体温に何かが脳裏を過ぎり、無理矢理それを振り払う。

そして未だに右手に握っていた拳銃を見遣った。


(…今なら、やれる。)


弾が入っているかどうかは分からない。

例え入っていなかったとしても、今の大佐が相手ならどうにでもなる。


(さっさととどめを刺して…シータとパズーを、探しに…)


そう思いながらも、何故か実行することが出来ない。


大佐がまた俺の名を呼んだ。



(はっ…情が湧いたってか…)


有り得ない。

周囲の壁が崩れ落ちていく中、徐々に醒めていく思考がそう断言する。


(これはそう…単なる憐憫だ…)


それと失望。

そう理由を付けて自嘲気味に喉を鳴らせば、撃たれた肩と足が再び痛みを訴え出した。


(痛ぇ…)

(何してんだ)

(早く撃てよ)

(シータ…)(パズー…)

(崩れる)

(痛い)(逃げろ)

(大佐)

(撃て)(早く)


(早く)(速く)(はやく―…)






『ケント。』





「……あー…くそっ…」


急に何もかもがどうでも良くなった。

大きく息を吐き、その背中に腕を回す。



「…ここまで来たら、最期まで付き合って差し上げますよ、大佐。」




そして、そのまま銃口を押し当てた。





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心青くして死ぬ?
そんなんじゃねぇよ

BAD END?

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嘘つき、ロンリー。