仮想の物語

映画開始前の話


そんなの、決まってるだろう?










備え付けのベルが来客を知らせた。


「いらっしゃい。」


作業の手を止め、顔を上げれば、そこには馴染みの客の姿。

きょろきょろと辺りを見渡す視線は、商品よりも下の位置をさ迷っていた。


「あれ?今日はあのおちびさん、いないんだね。」

「ん?あぁ…奥さんと一緒に親父のところに行ってるよ。」

「君の?」

「もうすぐこの国で戦争が起こりそうだからね。」


そう付け足せば、不思議そうな顔を向けられる。

苦笑して肩を竦めてみせる。


「君が教えてくれたんじゃないか、星の見方。」

「あ。そういえばそんなことも…」


その答えに納得したのか、また店内を一通り見渡して「マルクルが寂しがるな」と小さく呟くのが聞こえた。


「ところで君は何故、残ったんだい?」

「…さっきから質問ばかりだね。」


いつもと立場が逆だな、なんて笑いながらその問いに答えれば




「あぁ!だから僕はケントが好きなんだ!」


ハウルは至極嬉しそうに、まるで子どものように笑った。




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「臆病な魔法使いの友人を放っておけなかったのさ。」

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嘘つき、ロンリー。