紅い飛行艇乗りの物語
第四話
憧憬、畏敬、敬遠―…
それぞれ形は違えど、それは確かに語り継がれてきた。
「調子はどうだ?ポルコ・ロッソ。」
まるでお祭り騒ぎだな、と壇上から呆れて下を見下ろしていると後ろから声を掛けられた。
振り向いてその姿を認めると同時に息を飲む。
(こいつは驚いた…)
「軍の『英雄』がこんなところへ来ていいのか?」
「はっ、『英雄』なんて名ばかりでな。制服脱げばこんな老いぼれ、誰も見向きしねぇよ。」
果たして本当にそうか。
少なくとも、視界の端でマンマユートの野郎が身を強張らせているのは確かだ。
「それで、あのアメリカの若ぇのには勝てそうか?」
「さぁな。」
「頼りねぇな…こっちはお前さんに賭けてんだぜ?」
明らかに冗談と分かる口ぶりに肩を竦めて返せば、『英雄』が笑う。
その笑い方はどことなく、あの旧友に似ている気がした。
「孫からの伝言だ。精々頑張れ、だとよ。」
「…あぁ。」
そういや最近、人づてでしかあの野郎と話してねぇな。
不意にそこで、『あの話』について聞いてみたくなった。
「なぁ、一つ聞きたいんだがよ…」
「何だ?」
「天空の城ってのは本当にあったのか?」
途端に細められた目。
その意味を考える前に、それは空へと向けられた。
「…さぁな。」
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だが老兵は何も語らない。
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嘘つき、ロンリー。