紅い飛行艇乗りの物語
第五話
物語の主人公にはなりえないけれども。
ノックもせずに部屋に入ると、こちらに向けられていた背中が一瞬強張った。
そして間髪入れずに振り返る。
「…何だ、お前か。」
「よぉ、密告は終わったか?」
「人聞きの悪いことを言うな。」
苦虫を潰したような表情でそう返しながら、フェラーリンは手元の通信機を慣れた手つきで片付けだした。
その後ろ姿をぼんやりと眺め、溜息を吐く。
最近は陰でこそこそと動くばかりでつまらない。
「あー…カーチスとの対戦、俺も見に行きたかったな…」
「さすがにお前が顔を出すのはまずいだろう。」
「でも、うちのじい様は楽しそうに出向いて行ったぜ?」
「………」
不意に動きを止めたフェラーリンに、思わず笑った。
顔は見えないが、恐らく複雑そうに歪んでいるはずだ。
「しっかし、俺の隊だけ出動要請がねぇとか…やっぱ前回の空振りが響いてんのか?」
「…そうでなくても、以前から我々は上に目を付けられているんだ。少しは自重しろ。」
「へいへい。」
適当に相槌を打ちながら、きっと今この瞬間にも空を飛び回っているであろう友人に思いを馳せる。
つまらない自分達と違い、彼は自由だ。
何のしがらみもなく、ただ純粋に金と女と名誉を賭けて、飛ぶ。
「…なぁ、フェラーリン。いざとなったら軍を抜けてよ、」
二人でどこか遠くに行っちまおうぜ。
冗談半分にそう漏らせば、傍らで息を飲む気配がした。
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等しく流れる時間の中に、僕らも同じく生きている訳で。
end?
「マルコみたいに賞金稼ぎになるってのもいいな。」
「…止めておけ。その内あれも非合法になる。」
「じゃあ、いっそマルコも巻き込んで三人で空賊でもやるか?きっと最強だぜ?」
「お前はどうしてそういう発想しか出てこないんだ?」
end??
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嘘つき、ロンリー。