神々の集う湯屋の物語
逸聞
血を吸った衣は身体を重くし、耳を劈く悲鳴は心を重くした。
それでも求める者が後を絶たぬ故、消えようにも消えようがなかった。
そうして、機会を失った。
(人間ってのは勝手なもんだなァ…)
ひとしきり低く暗く嗤い終えた後、溜息と共に空を仰ぐ。
用を無くせば手の平返し。
憎まれ、厭まれるぐらいなら、いっそ忘れてくれればいいものをと切に願った。
信仰を無くし、下手に名の知れた神の行く末など決まっている。
「あァ……どうすっかなァ…」
疲れ果てた武神が『油屋』の暖簾をくぐるのは、もう少し後の話だ。
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すべてをすっかりお湯に流してしまおうか
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嘘つき、ロンリー。