仮想の物語

IF〜制服の話@


「おう、新入り!お前もこっちに…何だ?まだ着替えてないのか?」

「それが、俺の服貸してやろうとしたんだけどさぁ…」

「勘違いするなよ、空賊。俺は仲間になるつもりはない。」

「何?」

「まぁ、どうせ目的地は一緒なんだ。それまで同行させてもら」

「うわぁぁぁあっ!ごめんっ!!」







もしもあの時、ケントが空賊の服を着ていたら





「くそっ…あのガキ、覚えてろよ…」


苦々しげにそう吐き捨てながらケントは必死に手を動かした。

盥に洗濯板、そしてケントが掴んだ軍服からは仄かにカレーの匂いがしていた。


「ちっ…なかなか取れねぇな…」

「後二、三回は洗わないとなー。」

「……おい、離れろ。」

「えー。」


そう不服を漏らしながらも、ケントの背中から離れようとしないのは空賊三男坊アンリ。

それどころかケントが手を出せないのを良いことに、クンクンとその首筋に鼻を寄せる。

「んー、いい匂いー。」

「…そりゃあ頭からカレーを被ったからな。離れろ。洗いにくい。」

「腹減ったー。」

「だからさっさと行け。おい、嗅ぐな!」

「ケント、うまそー。」


そしてアンリの鼻先が耳裏に触れた瞬間、ゾワッと寒気を感じたケントは思いっ切り後ろに向かって頭突きを噛ました。


「い゙…っ」

「はっ、ざまーみろ。」

「新入りー。やっぱりそれしか服、ないみたいだ……って、何してんだ?アンリ。」


扉を開けてすぐ、床に蹲る弟の姿を目にして首を傾げるシャルル。


気にするな、と言いつつケントは手に付いた泡を拭い、腰を上げた。

その装いは数分前に拒否した空賊の服だった。





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「に、似合ってるよ!ケント!」

「…パズー…さっきはよくもやってくれたな…」

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嘘つき、ロンリー。