河神様とある人柱の話

講話


もうここには来るな。

そう何度も言いかけて、結局一度も口にすることが出来なかった。


日に日に川の勢いは増していく。


「今日もまた凄いな…」


畏怖を通り越し、感嘆するケントは気付いていない。


ケントがここに通い始める少し前、彼の妹が落ちた日から川が荒れ始めたということを。



『×××っ!×××っ!』

『落ち着けケントっ!×××は大丈夫だっ!』



そしてそれが、彼と私が初めて会った日であることも知らない。


「なに、直に治まるだろうよ。村のじいさま達がどこかの寺に相談しようと言っていたからな。」


そう言って私に笑いかけるケントは、まるで私を安心させようとしているかのようだった。

それに反して川はまた一際大きく波打つ。



(きっと川が治まるその時は……)




「じゃあ俺はもう帰るが…くれぐれも気を付けるんだぞ?」


そう念を押して去っていくケントの背中に、今日もまた手を伸ばしかけて、止めた。






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ただ共に在りたかっただけ。


(そう神が望むのは)
(彼のを望むことと同義)

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嘘つき、ロンリー。