イチャコラ祭

同行主


※学パロ。








ギッギッ、と床の軋む音が静かな教室内に響く。


椅子の前足を上げ、後ろ足だけでバランスを取る、いわゆる『シーソー漕ぎ』。

小学生の頃は「倒れると危ない」から禁止されていたが、高校生ともなると「床が傷付く」という理由で叱られるだけだった。


「危ないぞ、ケント。」


だが今、俺の後ろにいる幼馴染みは本気で俺のことを心配しているらしい。


「ん?」

「怪我をしたらどうする。」

「んー…」

「ケント。」


顔が見えないのを良いことに笑いを噛み殺していたら、肩の揺れで察したのか咎めるように呼ばれる名前。

向こうの顔も見えないが、その声色でよく分かる。


「聞いているのか?」

「聞いてるって。いいから日誌、さっさと書けよ。」


振り向くことなく促せば、アシタカが溜め息を吐いた。

ギッギッ。


「…気になって仕方ないのだ。」

「子どもじゃあるまいし、倒れる訳ないだろ。」

「子どもじみたことをしているのはそちらではないか。」


子どもじみたこと。

そう頭の中で反芻して思わず口元が弛む。


放課後、二人っきりの教室。

どうせ誰も見ていないのだから、この際もっと甘えてしまえ。


「なぁ、アシタカ。」

「何だ?」

「俺のこと、好きか?」

「あぁ、好きだ。」


ギッギッ。カリカリ。

床の軋む音と文字を書く音、それに紛れるように。


間もなく、躊躇いもなく、違和感もなく、するりと紡がれる言の葉が耳に心地好い。

もっと、聞きたい。


「じゃあ、どこが好き?」

「そうだな…」







主に顔が好きです。

(ガタンッと椅子が着地し、慌てて後ろを振り向いた。)
(すると珍しく悪戯っぽい笑みを浮かべたアシタカが、)


「あぁ、やっとそなたの顔が見えた。」

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嘘つき、ロンリー。