イチャコラ祭
石火矢衆
※学パロ。ちょい転生?
トン、と背中に触れた感触にふと我に返った。
あまりに自然な流れだったので、危うくそのまま流されるところだった。
「旦那?どうしやした?」
「…………」
訝しげに眉を顰めて、そう問い掛けるも目の前の同級生は答えない。
つい数分前まで、自分達は普通に会話していたはずだ。
よくよく思い返してみても、特に相手の気に障るような何かをした覚えもない。
だというのに今、自分はまるで追い詰められるように壁を背にして、
(…しっかし、この状況…端から見りゃあ何か誤解されるんじゃねぇか?)
あまり人通りがないとはいえ、ここは渡り廊下の、その途中。
男子生徒が二人向かい合い、それも結構な近距離でお互いを見つめ合っているなんて、異様な光景だろう。
妙な噂が流れなければいいんだが、と他人事のようにそう思っていた。
「ケント。」
「、は」
そのせいかもしれない。
少し考え事をしていたせいで、呼ばれた名前に一瞬反応出来なかった。
そして寄せられた顔に、完全に動きを止められた。
「っ…」
前髪、というよりも米神に触れた鼻がすんすんと空気を吸い込んでいるのがよく分かる。
まるで動物のような仕草に反射的に後退りしそうになり、背後が壁だということを思い出した。
他に逃げようにも、左右はその両腕ですっかり塞がれてしまっている。
改めて自分は今、追い詰められているのだと認識した。
「だ、旦那…?」
大して変わらない身長だというのに、威圧感が半端ない。
確かに転校初日から意味不明な言動が多い人物だったが、その世話をする内にすっかり慣れたと思っていたのが甘かったのか。
ここまで訳が分からないのは初めてだ。
そうこうしている間にも、鼻先は耳の近くを通りすぎて首元へと埋められる。
相変わらずすんすんと聞こえてくる呼吸音に、いっそ本当に動物にするよう頭でも撫でてやればいいのかと、本気で考え始めたケントは間違いなくテンパっていた。
嫉妬深いのでたいへんなことになります
(…まだ少し、火薬の臭いがするな…)
(は?か、かやく…?)
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嘘つき、ロンリー。