イチャコラ祭

青年主


小屋の掃除のため、ヤックル達の下を訪れると、そこには先客がいた。


「ケント?」

「あ…」


目が合ってすぐ、ばつが悪そうに逸らされる顔。


普段のケントなら、ここで立ち去っていただろう。

だがその両腕に抱えられた藁の束のおかげか、ケントは軽く会釈をしただけでその場に留まってくれた。


「そなた一人か?他の者は、」

「見ての通り俺だけですよ。そう言うアシタカ様は何故ここに?」

「私は小屋の掃除をしようかと、」

「そんなもの、他の者に任せれば…わざわざアシタカ様がする必要はないと思うんですが。」

「そうもいかぬ。」


アカシシらに藁を与えながら、ケントは一切こちらを見ようとしない。

ここ最近反抗期を拗らせていたが、これもその延長だろうか。


ただ傍らのアカシシを撫でる手つきだけが柔らかく、その様子に私は少し違和感を覚えた。


「…何か、あったのか?」


一瞬の静止。

アカシシが不思議そうに見上げると、ケントはそれに気付き、少し苦笑して再び手を動かし始めた。


「……カヤを、泣かせてしまいました…」


ケントはやはり私の方を見ず、ぽつりとまるで独り言のように小さく紡がれた言葉。


喧嘩でもしたのだろうか。

だがケントはそれ以上何も言わず、またその矜持を思えばこのままそっとしておくべきだった。


「…すまない。」


つい手を出してしまったのは、単なる私の我が儘だ。


「何でアシタカ様が謝るんです?」

「そなたを泣かせてしまったのは私だ。」

「は?な、」




「一人にして、すまなかった。」



ケントの手つきを真似て、いやそれ以上に壊れ物を扱うようにその髪を梳かす。

すぐに振り払われるかと思ったが、一瞬目を見開いただけでケントは少し俯きながらも黙って私の手を受け入れてくれた。








充分やさしさを感じています

(…別に、泣いてなんかいません…)

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嘘つき、ロンリー。