真一郎と元子犬03


「あの、真一郎さん。前に俺が言ったこと、覚えてますか…?」


玄兎の言葉に「何かあっただろうか?」なんて首を傾げていると、ふと玄兎が気まずそうに目を逸らした。

どんな時も子どもらしい純粋さで、真っ直ぐに相手を見つめる玄兎にしては珍しい反応。


と思っていれば、その続きを聞いて納得する。


「真一郎さんのその、カノジョにして欲しい、って…」

「あ、あー…そんなこともあったっけなぁ…」

「俺、あの時まだカノジョの意味知らなくて…だから、えっと、ごめんなさい。カノジョ、にはなれなくて…」

「ハハッ…まぁ、だよなぁ…」


誰かに聞いたのか、何かで知ったのか。

どちらにせよ、玄兎も成長した、ということだろう。


いつだったか「子どもの成長は速い」と思ったものだが、実際それを前にすると何となく少し寂しい気がして、思わず苦笑してしまった。


「だから、えっと、真一郎さん。改めてお願い、なんですけど…」

「ん?」


だけど所詮、子どもの頃の口約束。

そう自分にも玄兎にも言い聞かせ、とりあえず気にするなと伝えようとした矢先、玄兎と目が合い―…



「コイビト、にしてくれませんか?」



その視線が、いつの間にか自分と同じ高さになっていることにようやく気が付いた。




【エラルド】
石言葉(新たなスタート)


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嘘つき、ロンリー。