真一郎と元子犬02


※原作軸過去。
※真一郎、高校時代。










「本当?本当に本当?」


そう何度も同じ言葉を繰り返してそわそわと落ち着かない玄兎に、笑いながら何度も頷いてみせる場地。

遠くから見ていても分かるその楽しげな雰囲気の中、何故か二人の隣にいる弟だけが顔を顰めている。


ちょうどじいちゃんから三人を呼んでくるように頼まれていたこともあり、興味本位でそちらに足を向ければ、いつものようにそれにいち早く気付いたのは玄兎だった。


「真一郎さん!」

「楽しそうだなぁ…何の話してたんだ?」

「玄兎の身長がマイキーよりデカくなったって話。」

「お。」


言われて気付いたが、確かに玄兎の背は万次郎と同じくらいかそれより少し大きいような気がする。

と、思ったままを口にすればますます嬉しそうにする玄兎と、ますます不機嫌になっていく万次郎にようやく納得した。


玄兎を弟分として扱っている万次郎にとって、それは面白くない話に違いない。

ただ、同じように玄兎を可愛がっている場地は「その内、オレの身長も抜かされっかもなァ…」としみじみ続けて、まるで自分のことのように喜んでいるが。


(……ん?いや、そもそも玄兎っていくつだ…?)


「…もういい。道場に戻る。」

「あ、万次郎!待って!」


とうとうふて腐れて走り出した万次郎に、慌てて後を追い掛ける玄兎。

初めて出会った頃、その体格差から勝手に万次郎達より年下だと決め付けていたが、ああして見ると意外と同い年くらいなのかもしれない。


「まぁ何にせよ、子どもの成長ってのは速いもんだなぁ…」

「真一郎くん、なんかジジくせー。」

「うっせ。」

「大体、犬の成長ってあんなもんだろ。」


いや、人と犬を一緒にするなよ、と言い返してやったものの、それより先に二人に続いて駆け出して行った場地の背中には多分届いていない。


しかし、うちに通い始めておよそ一年。

玄兎は、あの時の「約束」を覚えているのだろうか。



『じゃあ、一年ぐらい待っててください!』



「…別に、待ってたつもりはねぇんだけどなぁ…」


思わず苦笑していると、オレがまだその場に一人残っていることに気付いたのか、足を止めて「真一郎さんも!早く早く!」と急かしてくる玄兎。


人の気も知らないで呑気にブンブンと手を振るその背後には、同じようにブンブンと尻尾が振られているのが見えた気がした。






積み重ねって大事

(ちょっとアリだな、と思ってしまった一瞬)


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嘘つき、ロンリー。