せんせいのわんこ

わんこのくせ


犬の収集癖というのもなかなか侮れないものだ。


一体いつ、どこで、どうやってそれらを手に入れてきたのか。

時に飼い主さえも首を傾げてしまうほど。


いや、この場合、呆れて溜め息を吐くべきところだろうか。


「これは何だ。」

「……スミマセンデシタ…」


項垂れるように正座する犬を見下ろして舌打ちする。

普段あまり使わない物置を開けた瞬間、眼前に広がった光景に思わず固まったのはつい数分前のことだ。


そして今、犬の前に並べられたほぼ肌色一色のそれらを指し示し、再度問い掛ける。


「これは何だ、と聞いている。」

「……ポルノ雑誌です…スミマセンデシタ…」


そんなことは見れば分かる。

察しの悪い駄犬に苛立ちは増すものの、こちらが譲歩しないことには話が先に進まない。


「別に怒っている訳じゃない。」

「え、」

「何だ。」

「あ、いや……」

「何だ。」

「別ニ何デモアリマセン…」


何やら物言いたげに自身の頭を撫でる玄兎。

そこはつい先程拳骨落とした箇所だったが、それとこれとは話が別だ。


むしろ看護師よりも先に発見したことを感謝して欲しいぐらいだ。


「こんなもの、一体どうしたんだ。」


ひとまず隠し場所のお粗末さはどうでもいい、問題はその『入手の経緯』についてだ。


十代の少女にさえ怯えを見せる玄兎には、これまで様々なリハビリを繰り返してきた。

今回その効果がようやく表れたのかと思ったが、今の様子を見るとそうでもないらしい。


目の前に並ぶ女の裸を直視することが出来ないのか、玄兎の視線が泳ぐ度にその旋毛が揺れ動いていた。


そんな玄兎がこれらを買い揃えたとは到底思えない。


「なんか、集まってくるんすよね…」

「集まる?」

「ガラハッドさんとか、モンローさんのとこの人とか…あ、あとチャド警部がくれたりとか。」


続々と出てくる、よく知った名前にピクリとこめかみが疼いた。

特に最後のは何だ、警察が何をやっている。


そう舌打ちし、さっさと目障りなそれらを処分してしまおうと一冊取り上げたところで、バサバサと落ちてきた数枚の『何か』。


それは筋肉隆々の、


「……………」

「ああああっ!それ違っ…便利屋の野郎が悪ふざけで渡してきただけで!別に俺の趣味って訳じゃ…!」


そんなことは言われなくても分かっている。





いけないね、kitty

(…とにかく全て処分しておけ。ニナに見られる前に。)
(は、はい!)
(仕置きはその後だ。)
(はい!………え?)


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悪男強化より。
リクエストありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。