せんせいのわんこ
看護師とわんこ
「…ニナ。今日はあんま、外に出んなよ。」
カルテの整理をするニナに、ふと思い出したように玄兎がそう声を掛ける。
作業の手を止め、ニナは不思議そうに玄兎の方へと向き直った。
「どうして?」
「…あー…別にはっきりと何があるって訳じゃねぇんだけど…何となく?勘?みたいな?」
何となくそんな嫌な空気が漂っている、と続ける玄兎。
きっと今この場にテオがいれば、「野生の勘」と言って鼻で笑ったことだろう。
そして玄兎は少し不満そうにしながらも、結局テオのその言葉に反論することが出来ず諦めるのだ。
そんな光景が簡単に想像出来て、ニナは思わず笑いそうになった。
「まぁ、とにかく。何か用があるなら俺に言えよ?代わりに行くから。」
「でも玄兎、まだ傷口が…」
「これくらい問題ねぇよ。」
「またテオ先生に怒られるよ?」
「…バレなきゃ問題ない。」
「それに、ちょっと娼婦街の方に行くかも。」
「………問題ない。」
徐々に自信のなくなっていく玄兎がどれだけ女性を苦手としているか、ニナはよく知っている。
現に今、二人の間には少し距離があった。
それでも自分を気遣ってくれる玄兎が嬉しくて、だからその気持ちだけは受け取って申し出を辞退しようとニナは思った。
すると何となくそれを察した玄兎は慌てて、「待て待て待て。じゃあ、何だ。あれだ…」と必死に考え込み、
「付き添い、ということで…」
お願い聞いてよ、sister
そしてとうとうニナは噴き出してしまうのだった。
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嘘つき、ロンリー。