下っ端くんは潜入捜査中!
望月莞爾
「ぐぇっ!?」
突然事務所の扉が開いた、かと思えばほぼ同時に悲鳴を上げながら転がり込んできた男の姿に九井は既視感を覚えた。
関わると絶対ろくなことにはならないと学んでいたため無視するつもりだったが、続けて入ってきた予想外の巨体に思わず目を見開く。
「おう。九井、オマエ一人か?」
「あ、あぁ…」
所内を見渡しながらそう問い掛けてくる望月に応え、九井はもう一度その足下に視線を落とす。
数日前、三途がどこかから拾ってきた玄兎という男。
三途がそれを小突き回すのはこれまで散々目にしてきたが、今日は珍しいツーショットだ。
と気を取られていたせいで、望月の次の言葉に少し反応が遅れてしまった。
「それで?コイツは一体何したんだ?」
「…あ?」
「見付けたら捕まえてこいって話だろうが?」
「………」
何の話だ?と九井が問い返すより先に「俺が言うのもアレすけど、報連相はしっかりした方がいいですよ…」と玄兎がふらふらしながら立ち上がる。
なるほど、どうやら望月は何か勘違いをしているらしい。
「まぁ、何でもいいが…おい、とりあえず茶。」
「はぁ…」
九井の説明も待たず、ドカッとソファーに腰を下ろす望月。
その望月に指示されてよろよろと給湯室に消えていった玄兎は、すぐに戻ってくると望月と、ついでに九井の前に湯呑みを置いた。
どちらかというとコーヒーの気分だったが、九井はその言葉を飲み込んで代わりに溜め息を吐き出す。
「…あんまりコイツに絡まない方がいいぞ。何かあると三途が面倒臭ぇ。」
「三途?」
「そっスよ。三途サンを怒らせたら痛い目遭いますよ?俺が。」
「オマエがかよ。」
「あの人、俺の体にある傷、全部把握してますからね…自分が付けた以外の怪我を見付けるとそりゃあもう怖いの何のって…」
「オマエ、三途のオンナか?」
「いや違いますけど?どこからどう見ても男ですけど?」
「オトコ?…三途相手に物好きなやつだな。」
「あ、ダメだ。なんかこれ話通じてないっぽい。ちょ、九井サン。どうしましょう?」
「オレを巻き込むな。」
どうでもいい、と返しながらとりあえず九井は玄兎にコーヒーを淹れ直させることにした。
望月莞爾の誤解
(ある意味正解?んなわけあるかい。)
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嘘つき、ロンリー。