もしかして:喜劇?

杉本と福田と同級生


※『黒板消し』










魔王直轄の盗賊団が反旗を翻したのには勿論、それ相応の理由があった。


常日頃から魔王ミヤダイと盗賊団頭目スギモトの間にひっそりと、だがしっかりと刻み込まれた確執。

それがつい先日、とある一件によりとうとう決定的なものと化してしまったのだった―…


「宮台の野郎、俺が昼飯の後の楽しみに買っておいた新発売のコンビニスイーツを勝手にひと口食べた挙げ句、『まぁ、不味くはないな。俺の好みではないけど』ってケチ付けやがったんだ…」










「すんません、解散でーす。お疲れっしたー。」


福田の掛け声に、集まっていた面々が「何だ、つまんねぇ」とだらだら四方に散っていく。

ただ一人、「ヒドいっスね!それは完全に宮台が悪いっス!」と鼻息荒く賛同を示しているのは、数日前に杉本が成り行きで助けた村のイジメられっ子だけ。


当の杉本からは「お前に同意されてもなぁ…」と塩対応だが。


「てか、え?マジで?マジでコンビニスイーツが原因?それだけ?」

「そんなんでいちいち魔王倒そうとしてたら勇者なんていらねぇだろ…」

「だって腹立たねぇか?その後、俺が食って『うめぇ…!』っていくら言っても負け惜しみみたいになっちまうだろ。」

「いや、実際にうまいんなら別によくね?」

「よくねーよ。」


結局その場に残ったのは、杉本、福田、玄兎といつもの三人に加え、盗賊団入りを強く希望している元イジメられっ子。

ついでに少し離れた場所から様子を窺っているのは、数日前に杉本が成り行きで締め上げた村のイジメっ子で、自分も帰っていいものかどうか判断に迷っているらしい。


それに気付いた玄兎が手を振ってみせた。


「なんか話してたら甘いもんが食いたくなってきた…兼近ー、わりーけどコンビニで何かスイーツ買ってきてー。できれば期間限定的なやつー。」

「あ、はい!」

「俺らももう行こうぜ?直接見て選んだ方がいいだろ。…ったく、いよいよ『ゴチュウ村のアナコンダ』がやる気になったのかって期待した俺が馬鹿だったわ。」

「あぁ?勝手に熱くなって、勝手に他の奴らを集めたのはお前だろうが?」

「福田って時々そういうところあるよなぁ。」

「うるせー。それで、宮台の方はどうすんだよ?」

「何とかギャフンと言わせてやりてー…例えば玉座の椅子にブーブークッションを仕掛けるとか。」

「うっわ、くっだらねー…ってかそれでギャフンって言うやついんの?」


なんて話しながら、一足先にコンビニへと駆け出した兼近に続いて歩き出す一行。

「ところで杉本のおごり?」「はぁ?何でだよ?」「無駄に人を騒がせた罰に決まってんだろ」「だったら福田の方が、」と、そこで不意に福田が足を止めて振り返った。

つられて杉本、玄兎と、三人のすぐ後ろにいた元イジメられっ子が立ち止まる。


「なぁ、お前。マジでついてくるつもりかよ?」

「おい、福田。話をそらしてんじゃ」

「はい!俺、どうしても杉本クンの舎弟になりたいっス!」

「おい、お前も。話をさえぎるんじゃ」

「まぁまぁまぁまぁ。」


ここは一つ、俺に任せとけ。

そう杉本を制しながら玄兎は一同の前に進み出ると、ゴホンとわざとらしく咳払いをしてみせた。


「元イジメられっ子が仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?」



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(お前はまたそうやって何でも拾ってきやがって…一体誰が面倒を見ると思ってんだ?)(え?福田じゃね?)(おい、コラ。)(じゃあ俺、仲間に入れてもらえるんスか!?)(うーん、それはちょっと…)(何でっスか!?お願いしますよ!)

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嘘つき、ロンリー。