もしかして:喜劇?

場地と弟


※原作軸過去。
※βな場地兄弟の話。
※雑学好きのモブが出ばっているのでご注意を。










場地の『兄弟喧嘩』について、千冬がもう一方の当事者に話をしに行った日の翌日。

以前にも増して荒れた様子の場地に嫌な予感がし、タイミングが良いのか悪いのか、どこからともなく聞こえてきた風の噂がそれを裏付けてしまった。


「弟とまた喧嘩」「お触り禁止」「で、昨日やっとお許しが」「と思ったら何故か延長で」「そりゃあ荒れるわなぁ」


「…………」


どうやら自分は余計なことをしてしまったらしい。

すっと千冬の顔から血の気が引いていき、ついでに場地のために用意した『よい子のためのせいきょういく』なる本もそっと後ろ手に隠した。

明らかに渡せるタイミングではない、というか今渡せば自分が犯人だと気付かれる可能性大だ。

殴られるだけならまだいいが、現状では勢いのまま半殺しにされてしまうに違いない。


(いや、オレは別にどうなってもいいんだ…問題は場地さんと玄兎くんがもし別れるようなことになったら……あれ?兄弟でも「別れる」って言うのか?勘当?絶交??)


とにかく言い方はどうあれ、それだけは絶対に避けたい。

が、この危機を乗り越えるためには自分では力不足であることも認めなければならない。


幸い、周囲の反応は先日に比べて「完全放置」の姿勢から「様子見の保留」といった雰囲気に変わってきている。

中でもチーム内で一、二を争う気遣い屋である副総長や弍番隊隊長が行動に移るのは時間の問題だろう。

ならば、ここはひとまず任せるべきだ。


ということで、千冬はとりあえず近くにいた三ツ谷にこれまでの経緯を洗いざらい話すことにした。


「なるほど、そういうわけか。」


苦笑混じりに応える三ツ谷に何とも言えない安心感を覚える。

もし生まれ変わってまた東卍に入ることがあれば弍番隊になりたい、とほんの一瞬思ってしまった。

勿論その場合、その世界に場地が居ないことが大前提だったが。


なんて考えていたせいで、千冬は三ツ谷が続けて「だったら適任がいる」と話すのを聞き逃してしまった。







「……場地さん、その本って…?」

「あ?コレか?」


なんか弐番隊のアイツが貸してきた。

そう言って場地がクイッと顎で指し示した先にいたのは予想通りの姿。

そういやあの人も弍番隊所属だったなぁ…なんて思い出しても時既に遅く、頭を抱えてしまう千冬。

ついでに、何があっても絶対に弐番隊にだけは入らないぞ、と決意を固めた。


そして恐る恐る場地の方へと向き直る。


東卍メンバーが多く集う中、場地が堂々と真剣な面持ちで開いているその本のタイトルは『よい子のためのせいきょういく』。

見覚えがあり過ぎて、千冬は目を逸らしたくてたまらない。


「次読むか?」

「いや、大丈夫っす…」

「千冬ぅ、オマエ知ってたかぁ?αがΩになるっつーのは嘘なんだってよ。」

「はぁ…」

「βがΩになることもねぇって。」

「………」


とりあえず場地が正しい知識を手に入れた、ということで玄兎も少しは溜飲を下げるに違いない。

それで今回の『兄弟喧嘩』が終息に向かうのなら千冬としては満足である。


と、何とか自分を納得させていると、不意に件の人物が二人に近寄ってくる。


「場地、もう読んだか?どうよ?」

「おう、とりあえず玄兎には謝っとくわ。」

「そうしろ、そうしろ。何だったら俺も付き添ってやるぞ。」

「いらねぇよ、バカヤロウ。」


そう笑いながら場地が差し出したそれを受け取ると、千冬の視線に気付いたのか相手は笑顔でサムズアップしてきたのだった。




そしてまたいつもの日常へ

(…何か、いまいち納得できねぇのってオレだけ?)


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こっそりT卍R祭。
リクエストありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。